フィルムカメラ 白黒・モノクロフィルム現像を自分でするやり方は?
2019/03/04
デジタルカメラ時代にこそ、あえて書くフィルムカメラ備忘録。 白黒・モノクロフィルム現像を自分でする方法について忘れないうちにまとめてみることにしました。なにせ30年ほど前に手書きした書物から起こしている原稿ですので、古い情報ではありますが、基本的には変わってませんのでよろしくおねがいします。
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フィルムカメラで撮影 白黒・モノクロフィルムの現像とは?
そもそも現像とはどういう作業なのか?
フィルム内のハロゲン化銀に光が当たると「潜像」ができる
- フィルムの感光乳剤の主体は「ハロゲン化銀」です。
- この「ハロゲン化銀」にカメラのレンズを通して光をあてる(露出する)と「潜像」ができます。
- 「潜像」はその名の通り「像」ですが、まだ目で見ることはできません。だから「潜像」なのですね。
- 撮影(露出)後、フィルムはなるべく早く現像することをオススメします。
- なぜならこの「潜像」は、撮影(露出)後、時間の経過とともに変化しバランスが崩れて行くからです。
- 「潜像」が時間とともに変化していくことを「潜像退化」または、「潜像退行」といいます。
- 潜像退化・潜像退行の度合いは、白黒フィルムよりもカラーフィルムの方が早く進行します。
光があたってできた潜像を目に見える画像にする
- この「潜像」を目で見ることができる「画像」にする化学処理が「現像」です。
- フィルム現像液には、「ハロゲン化銀」を「黒化銀」にする還元物質が含まれています。
- つまり「ハロゲン化銀」を「黒化銀」に変化させる処理が「現像処理」というわけです。
- もう少し詳しく説明すると、感光したハロゲン化銀を現像すると「銀」を遊離するのですが、光があたった量が多いほど、多くの「銀」遊離し、その銀が現像液によって「黒化銀」に変化し濃淡のある画像となります(ネガ画像)。
なぜ目に見えない「潜像」から目に見える「画像(ネガ画像)」になるのか?
- フィルム現像液の「還元物質」が「感光(光があたった)」部分の「ハロゲン化銀」のみを「黒化銀」に変化させます。
- このとき、強く光を受けた部分(ハイライト部分)・被写体の明るい部分ほど多く「黒化銀」が残って濃い画像になります。
- 逆に、光の受け方が弱かった暗い部分(シャドー部分)は「黒化銀」の残り方が少なく、濃度が薄い画像となります。
- 光を感じていない部分の「ハロゲン化銀」は 「現像」の後の「定着処理」によって取り除かれ、光があたった部分の「黒化銀」のみが固着されることで「ネガ」が出来上がります。
- つまり全く光があたっていない部分のフィルムは「透明」になります。
- 「透明」といってもフィルムのベース面には、フィルムの種類によって色が付いていますので、白黒フィルムの場合は、「薄いグレー」や「薄い紫色」のような色をしています。
- 一部の特殊用途のフィルム、フジフィルムの「ミニコピーHR2」などはベースの色が透明のものもあります。
フィルムカメラ 白黒・モノクロフィルム現像のおおまかな流れ
白黒フィルム現像の手順・流れ
白黒フィルムを現像タンクのリールに巻く
※この作業は「全暗黒(つまり真っ暗)」で行わなければなりません。といっても「新月の日を狙って山奥の真っ暗な場所へ行って、フィルムをリールに巻き、そして現像タンクに装填するんだっ!」などという気合いは必要ありません。
- 全暗黒にできる暗室が用意できなくても大丈夫!
- 「ダークバッグ」があれば明るい部屋でもフィルムをリールに巻くことができます。
- 撮影済みフィルムのべろが出ている場合は、カメラ装填用の細くなったベロ部分をハサミでカットします。べろをパトローネに巻きこんでしまっている場合は、「ベロ出し機」でべろを引き出しますが、無い場合は「ダークバッグ内でパトローネをオープンします。
- 「ダークバッグ」のチャックを開け、「ダークバッグ」に必要な物を入れてチャックを閉じます。
- 「ダークバッグ」に入れるものは、撮影済みの白黒フィルム、「現像タンク」と「リール」、「専用のフィルムオープナー」又は「栓抜き」(べろが出ている場合はフィルムオープナーが無くても大丈夫です。)、フィルムをリールに巻き終えた時にフィルムをカットする「ハサミ」、このハサミは先が丸いものの方が、ダークバックに穴を開ける確率が低いので良いです。
- 「ダークバッグ」に必要な物を入れたら、チャックをして2つある「手の挿入口」から両手を入れて作業開始です。
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ダークバッグの中でする作業と注意点
- 手を入れる前に「腕時計など」は外します。これは腕時計の夜光塗料や文字盤の照明などによるフィルムの感光を防ぐためです。
- もう一度ダークバッグのチャック(ジッパー)がきちんとしまっているかを確認しましょう!
- 確認が済んだら「ダークバッグ」に手を入れて、現像タンク本体、現像タンクの蓋、撮影済みフィルム、オープナー、ハサミがあるか手探りで確認しながら、作業しやすいように配置します。
- フィルムの先端を、リールに巻いていきます。この時強く巻くと、フィルムがひっついて、その部分だけ現像ができていないなど、「現像斑(ムラ)」が生じますので、緩めに巻くのがポイントです。
- リールに巻き終えたら、フィルムのエンド部分をハサミでカットします(ダークバッグの布を切らないように注意)。
- リールを現像タンクに装填し、現像タンクのふたをしっかり閉めます。
- しっかり蓋が閉まっていることを確認したら、ダークバッグから両手を抜いて、チャック(ジッパー)を開け、現像タンク、その他を取り出します。
用意してあった現像液を現像タンクに注入します。
- 現像液は現像タンクの種類によって規定量を用意しておくのが無難です。
- 現像液には温度の範囲がありますので、用途に合わせて事前に温度調整しておきましょう。
- タンクに現像液を注入したら、少し連続撹拌(かくはん)して、タンクの底部を数回たたき、気泡を除去します。
- 後は、フィルムと用途に合わせた規定時間まで、1分放置、10秒撹拌と気泡抜きを繰り返します。
- 規定時間になったら、現像液をタンクから現像液ボトルに戻します。(希釈現像の場合は廃液タンクに入れます。)
- そしてすばやく現像タンクにあらかじめ作って置いた「停止液(酢酸の希釈液)」を入れ、すぐに底を叩いて気泡を除去し、30秒間撹拌し、「停止液」を現像タンクから排出します。
フィルムカメラ 白黒・モノクロフィルム現像処理から定着処理へ
白黒フィルム現像の次に「定着処理」が必要
白黒フィルムの定着処理方法
- あらかじめ用意してあった規定量の「定着液」を、現像タンクに注入します。
- すぐに気泡除去をします。
- 30秒間連続撹拌します。(処理時間10分の定着液の場合)
- その後、規定時間の10分まで、1~2分間編で10秒撹拌、気泡除去を繰り返します。
- 10分経過したら、現像タンクから、定着液ボトルに定着液を戻します。
最後に「水洗処理」を行います。
- フィルム面に残っている「定着液」を洗い流すために、すばやくタンクに水を入れ、水を出しっぱなしにして「水洗処理」をします。
- 「水洗処理」の時間は30分です。
- 「水洗促進剤(クイックウォーター)を使えば、この水洗時間を大幅に短縮することもできます。
- その場合は、定着液排液後、予備水洗30秒 ⇒ 水洗促進剤60秒(ゆるく連続撹拌) ⇒ 流水5分となります。
- 基本的にはこれで現像処理は終了です。
さらに水滴斑防止剤に30秒で安心
- そのまま自然乾燥させると、水滴斑(すいてきむら)がフィルム面に残る場合があります。
- この水滴斑が付かないようにする薬品があります。
- 「水滴斑防止剤」といいます。フジフィルムの製品名は「ドライウェル」といいます。
- この水滴斑防止剤「ドライウェル」は希釈して使います。
- 規定通り希釈した適量のドライウェルにフィルムに浸けるのですが、この時点でリールを現像タンクから出して、目視で定着村が無いか確認します。問題が無ければ、ビーカーなどに用意した水滴斑防止剤「ドライウェル」にリールを入れ、気泡取りをして30秒間放置します。
- 終了したら、フィルムをリールからはずし、フィルムクリップをフィルムの両端に取り付け、埃の少ない部屋につるして「現像済みフィルム」を乾燥させて終了です!
- 文章を読むとややこしそうに見えますが、慣れてしまえば簡単です。是非チャレンジしてみてください!
白黒フィルム現像処理工程のまとめ
- ダークバッグでフィルムを現像タンクに装填。
- 現像液による「現像処理」
- 停止液による「停止処理」
- 定着液による「定着処理」
- 流水による「水洗処理」
- 水滴斑防止剤による「水滴斑防止処理」
- フィルムをつって「乾燥処理」
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