ＰＬフィルターって何？偏光って？その疑問にプロがお答えします！

ＰＬフィルターって何？偏光って？その使い方は知っていてもなぜその効果が得られるのか疑問に思ったことはありませんか？その疑問にプロがお答えしま～す！その原理や仕組みを知ることでさらに効果的に使えるようになりますよ！

ＰＬフィルターがカットする「偏光」ってなに？その疑問にプロがお答えします！

ＰＬフィルター（＝偏光フィルター）を使った作例写真！

• 作例（１）（２）は京都府北部の北山造りの茅葺民家です。偏光フィルターの効果によって、青空の深みが増し、茅葺屋根と木々の緑も鮮やかに描写されました。

そもそも偏光ってなんだ？

• 光は電磁波の一種で、紫外線（これは人間の目には見えません。）と、赤外線（これも同様に人間の目には見えません。）、そして紫外線と赤外線の波長の間にある可視光線（可視放射とも言います。）を総称して光と呼んでいます。
• 光が電磁波の一種だということから、光はその周波数の波長で振幅運動を繰り返しながら進むことがわかります。（振動と言った方がわかり易いと思います。）
• この振幅運動は光が進む直線方向に対して直角かつあらゆる方向に運動（以降イメージしやすいように「振動」という言葉で表します。）を繰り返して進んでくるわけです。
• そして、その光がガラス面などに反射すると横振動の大きな光に変化する特性を持っています。この変化した光が「偏光（直接偏光）」なのです（偏光＝偏った光）。
• ショーウィンドウなどを覗く時、周りの風景などがガラスに反射して中が見えにくいということが良くありますが、この時の映り込み（反射して見えている周りの風景）が偏光の正体なのです。
• 但し、金属の表面では偏光現象は起こりません、よって偏光フィルターの出番はありません。
• 「偏光」＝かなりかわったおっさん、人。という意味では決してありません。それは・・『ヘンコ』（大阪弁）です。(^-^)

ＰＬフィルターって何でできてるの？その疑問にプロがお答えします！

ＰＬフィルター（＝偏光フィルター）ってどんなもの？

• ＰＬフィルター（偏光フィルター）は、２枚のガラス板が重ねて枠にはめられ、そのうち１枚が回転するような仕組みになっています。これは実際には、特殊な分子構造を持つプラスチックの膜をガラス面に吸着させたもの（こちらが回転する）と、普通のガラスを２枚重ねて枠にはめたものです。
• このプラスチック膜は、ポリビニール・アルコール（ＰＶＡ）と呼ばれるものです。 身近なところでは、立体映像をみる為の「３Ｄメガネ」、「ビニールハウス」などに使用されています。あと、ゲル状のおもちゃ「スライム」の原料もこのＰＶＡです。
  この薄い板状のポリビニール・アルコールを引っ張って伸ばしていくと、その分子が平行線状に並ぶ（配列する）という性質を持っています。つまり窓にかけるブラインドのような「平行格子（へいこうこうし）状」の分子配列の薄膜になるのです。 こうして出来上がったポリビニール・アルコールの薄膜にヨウ素を吸着、更にガラス面に接着させ、光学的フィルターとしたものが偏光フィルターなのです。





↑ 図Ａ






↑ 図Ｂ

• ここで２種の偏光フィルターが出てきました。１つは普通の「ＰＬフィルター（偏光フィルター）※ＰＬと表記」、もう一つは「サーキュラＰＬフィルター（円偏光フィルター）※Ｃ-ＰＬと表記」というものです。
• 上の図Ａの偏光フィルターの構造は３層構造で、ガラス・偏光板・ガラスという重なりに成っています。このフィルターは、マニュアルフォーカス一眼レフカメラ（ＭＦ機）などに使用するタイプです。（＊：一部の偏光性ハーフミラー搭載機種キヤノンＮｅｗＦ－１などは除く）
• 図Ｂの円偏光フィルター（サーキュラＰＬフィルター）の構造は４層構造で、ガラス・偏光板・１/４位相差板・ガラスという重なりになっています。こちらのフィルターは、＊印の偏光性ハーフミラー搭載ＭＦ機、オートフォーカス一眼レフカメラ（ＡＦ機）、デジタルカメラに使用するタイプです。
• この偏光性ハーフミラー搭載ＭＦ機、オートフォーカス一眼レフカメラなどでは、カメラ内部の測光機器やオートフォーカスの測距機器に偏光性ミラーやフィルターが使われているので、図Ａの３層構造の偏光フィルターでは露出が狂ったり、オートフォーカスのピントがずれたりしてしまうのです。（単に、偏光フィルターが２枚重なった状態になってしまうため。）

• これに対し、図Ｂの円偏光フィルターを見ると、１/４位相差板というものが偏光板の後ろに追加されているのがわかります、この１/４位相差板の働きは、偏光板で濾されて直線偏光となったものを円偏光というものに変えるというものです。この円偏光は、次にカメラ内の偏光性ミラーやフィルターを通った時に変化が生じない特性を持っているので、露出や測距に影響を与えることがありません。
• いろいろと原理を説明しましたが結構専門的ですので、普通は下記の内容を覚えておくだけでも十分かもしれません。

• 普通の「偏光フィルター（ＰＬフィルター）」は、マニュアルフォーカス（ＭＦ機）用のフィルターである。（一部の偏光性ハーフミラー搭載ＭＦ機｛キヤノンＮｅｗＦ－１など｝は除く。）
• 「円偏光フィルター（サーキュラＰＬフィルター）」は、偏光性ハーフミラー搭載ＭＦ機、オートフォーカス機、デジタルカメラ用のフィルターである。
• ※わかりにくい場合は、カメラ店で、自分が使っているカメラの機種を告げた上で、どちらかの偏光フィルターを買い求めると良いでしょう。広角レンズ用として、フィルター枠の厚みが薄い「Ｗ」タイプもあります。

まとめ

• 光がガラス面などに反射すると横振動の大きな光に変化する特性を持っている。この変化した光が「偏光（直接偏光）」だ！
• 金属の表面では偏光現象は起こらない！よって偏光フィルターの出番はなし！
• ＰＬフィルターの正体はポリビニール・アルコール（ＰＶＡ）だ！
• 薄い板状のポリビニール・アルコールを引っ張って伸ばしていくと、その分子がブラインドのように平行線状に並ぶ！
• このブラインド状の膜（ガラスに張り付けてある）を回転させて、「偏光」をカットするのがＰＬフィルターだ！
• デジタルカメラには「サーキュラーＰＬ」を装着しよう！
• ＰＬフィルターの効果１「ガラス面や水面の反射除去！」
• ＰＬフィルターの効果２「木々の緑や紅葉の色をより鮮やかに撮影できる！」
• ＰＬフィルターの効果３「青空のブルーもより濃い青に撮影することができる！太陽を背にしたとき効果が最大！」

当記事は、以前写真教室用に書いたものをリメイクしたものです。